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2016-05-17 に加筆しました。 |
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関数を正確に表現すると、「__クラス変数にもインスタンス変数にも一切アクセスしないメソッド__」です。次の例が関数です。\\ |
関数を正確に表現すると、 |
*クラス変数にもインスタンス変数にも一切アクセスしないメソッド |
です。次の例が関数です。\\ |
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クラス変数にもインスタンス変数にも一切アクセスしないということは、そのオブジェクトが持つ__データ構造に依存しない__ことになります。\\ |
「__クラスとはデータ構造__」という原則に、これは明らかに反します。__関数を作ってしまうとデータ構造と処理が分離され__てしまい、保守性が下がってしまいます。\\ |
クラス変数にもインスタンス変数にも一切アクセスしないということは、 |
*そのオブジェクトが持つ__データ構造に依存しない__ |
ことになります。\\ |
*クラスとはデータ構造 |
という原則にこれは明らかに反します。そして、 |
*関数を作ってしまうとデータ構造と処理が分離される |
ことになり、保守性が下がってしまいます。\\ |
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関数を作ってはいけないのだから、__ユーティリティクラスと世間で言われるクラスも当然作ってはいけません__。ユーティリティクラスというのは関数の単なる集まりであり、データ構造を持たないクラスだからです。\\ |
関数を作ってはいけないのだから、 |
*ユーティリティクラスと世間で言われるクラスも当然作ってはいけない |
ことになります。ユーティリティクラスというのは関数の単なる集まりであり、データ構造を持たないクラスだからです。\\ |
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次の二つのケースでは例外的に関数を許します。 |
次の3つのケースでは例外的に関数を許します。 |
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#別メモリ空間で稼働するシステムとの間でオブジェクトが持つデータを受け渡す場合 |
#異なるクラスを同一の処理で扱いたい場合 |
#別メモリ空間で稼働するシステムのオブジェクトが持つデータを受け取る場合 |
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!メイン関数 |
OSがアプリケーションを起動する場合、メイン関数が起点となります。OSは、起動パラメータをデータとしてメイン関数に渡します。この起動パラメータ(データ)とメイン関数(処理)は分離されざるを得ません。そのため例外となります。\\ |
メイン関数の中には必要最低限の処理のみを記述するようにし、業務用クラスのインスタンスに処理を早く委譲すべきです。\\ |
!!メイン関数 |
OSがアプリケーションを起動する場合、メイン関数が起点となります。OSは、起動パラメータをデータとしてメイン関数に渡します。この時、 |
*起動パラメータ(データ) |
*メイン関数(処理) |
の二者は、プログラムの外部から与えられるもの(パラメータ)とプログラム処理として分離されざるを得ません。そのため例外となります。\\ |
メイン関数の中には必要最低限の処理のみを記述するようにし、 |
*業務用クラスのオブジェクトに処理を早く委譲すべき |
です。\\ |
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!別メモリ空間で稼働するシステムとの間でオブジェクトが持つデータを受け渡す場合 |
!!異なるクラスを同一の処理で扱いたい場合 |
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!1.何かのメディア(媒体)に読み書きしたい場合 |
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の2つが分離されます。この__「相手側のシステムとの間で受け渡す処理」を関数として実装する__必要が出てきます。相手に渡せるのはデータのみであり、そのデータをやりとりする処理が別に必要となるからです。\\ |
の2つが分離されます。つまり、 |
*相手側のシステムとの間で受け渡す処理を関数として実装する |
必要が出てきます。相手に渡せるのはデータのみであり、 |
*そのデータをやりとりする処理を独立させた方が効率が良い場合が多い |
からです。\\ |
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しかし、受注伝票や発注伝票の中に「RDBに書き込む」「RDBから読み込む」ようなメソッドを持ち、その中からRDB関数(群)を利用することによって、受注伝票や発注伝票を扱うアプリケーション側からはデータ構造と処理が一体化されている正しいクラスとして扱えます。次のような形です。\\ |
しかし、受注伝票や発注伝票の中に「RDBに書き込む」「RDBから読み込む」ようなメソッドを持ち、その中からRDB関数(群)を利用することによって、受注伝票や発注伝票を扱うプログラムクラス側からはデータ構造と処理が一体化されている正しいクラスとして扱えます。次のような形です。\\ |
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__O/Rマッパ(Object Relation Mapper)__がJDBCドライバの上位に配置されることが実際の開発では多いのですが、そのO/RマッパがRDBストレージの代理として表現されることによって、オブジェクト指向により近い実装になります。O/RマッパがJDBCドライバを隠蔽することにより、受注伝票や発注伝票などからは、__RDBオブジェクトに処理を委譲している__形を取ることが出来ます。 |
__O/Rマッパ(Object Relation Mapper)__がJDBCドライバの上位に配置されることが実際の開発では多いのですが、そのO/RマッパがRDBストレージの代理として表現されることによって、オブジェクト指向により近い実装になります。O/RマッパがJDBCドライバを隠蔽することにより、受注伝票や発注伝票などからは__RDBMSオブジェクトに処理を委譲している__形を取ることが出来ます。 |
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\\ |
!2.異なるクラスをComparatorによって比較したい場合 |
JavaのAPIで提供されているjava.util.Comparatorインタフェースのcompare()メソッドは関数です。 |
%%prettify |
{{{ |
public int compare(T o1, T o2) |
}}} |
/% |
o1およびo2オブジェクトのクラスそのものが__java.lang.Comparableインタフェース__を実装していれば、Comparatorインタフェースによる比較は必要ありません。しかし次のような時があります。\\ |
*Comparableインタフェースを実装していないオブジェクトを比較したい |
*比較したいオブジェクトが異なるクラスである |
上記のような場合は自作のComparatorを作る必要が出て来ます。次のようなイメージです。\\ |
[utility_class9.png]\\ |
この項で説明した関数は、オブジェクト指向の前身である「構造化言語」の特徴を引き継いだものです。このページのタイトルは「関数禁止」となっていますが、それは安易に関数を量産してしまうことを戒めているのであって、上記のように理解した上で使うことは問題ありません。\\ |
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!!「層」が増えるほど関数が必要となる |
前項で説明したように、外部のメモリ空間で稼働しているシステムとのやりとりが発生する境界ではデータ構造を持たない関数が必要になります。これは言い方を換えると、「RDB層」「アプリケーション層」などのような__層(Layer)があればその境界線で関数が必要になる__ということです。次の図を見て下さい。\\ |
!!別メモリ空間で稼働するシステムのオブジェクトが持つデータを受け取る場合 |
前項で説明したように、外部のメモリ空間で稼働しているシステムとのやりとりが発生する境界では、オブジェクトではなくデータのみをやりとりする必要があります。これは言い方を換えると、 |
#RDB層 |
#アプリケーション層 |
などのような |
*層(Layer)があればその境界線で関数が必要になる |
ということです。次の図を見て下さい。\\ |
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上の図は、一般的な3層構造アプリケーションの動きのうち、画面の情報をRDBに格納するまでの流れを表しています。層と層の間はオブジェクトをそのまま渡せないため、電文という形でデータを渡します。電文を受け取るプロセスは各層での処理の起点の役割、つまりメイン関数と同等の機能を負います。そのため関数にならざるを得ないのです。例外の1番目で書いたのとほとんど同じ理由です。\\ |
例えばアプリケーション層の起点ではHTTP電文を受け取ってオブジェクトへと変換します。この動きをメイン関数と比較すれば、起動パラメータがHTTP電文と替わるだけであることが解ります。Javaサーブレットを使ったWebアプリケーションの場合、サーブレットそのものがこの関数になっています。 |
次の例は__javax.servlet.http.HttpServlet__の__doPostメソッド__ですが、サーブレットアプリケーションにおいてリクエストを電文として受け取る処理の起点になります。レスポンスを戻り値としはいませんが、引数として受け取った__HttpServletResponseオブジェクト__に対して__返りの電文(データ)__を出力する形の関数を実装することになります。\\ |
上の図は、一般的な3層構造アプリケーションの動きのうち、画面の情報をRDBに格納するまでの流れを表しています。層と層の間はオブジェクトをそのまま渡せないため、 |
*電文という形でデータ構造を渡す |
ようになっています。電文を受け取るプロセスは、 |
*各層での処理の起点の役割、つまりメイン関数と同等の機能 |
を負います。そのため関数にならざるを得ないのです。例外的に関数を許す場合の1番目で書いたのとほとんど同じ理由です。\\ |
例えばアプリケーション層の起点ではHTTP電文を受け取ってオブジェクトへと変換します。この動きをメイン関数と比較すれば、__起動パラメータがHTTP電文と替わるだけ__であることが解ります。Javaサーブレットを使ったWebアプリケーションの場合、サーブレットそのものがこの関数になっています。 |
次の例は__javax.servlet.http.HttpServlet__の__doPostメソッド__ですが、サーブレットアプリケーションにおいてリクエストを電文として受け取る処理の起点になります。レスポンスを戻り値としてはいませんが、引数として受け取ったHttpServletResponseオブジェクトに対して返りの電文(データ)を出力する形の関数を実装することになります。\\ |
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結果として、上記のような__層分けを出来るだけ行わない方が本来のオブジェクト指向に近づけます__。「データと処理の分離」の発生頻度が減るからです。\\ |
結果として、 |
*層分けを出来るだけ行わない方が本来のオブジェクト指向に近づける |
のです。「データと処理の分離」の発生頻度が減るからです。\\ |
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!!まとめ |
*クラス変数にもインスタンス変数にもアクセスしない処理(つまり関数)を作ってはいけない |
*ただし以下は例外 |
**メイン関数 |
**異なる複数のクラスを同列視したい場合 |
**「層」の間 |
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At line 84 changed one line |
*[小物クラス|小物クラス] |
*[小粒クラス|小粒クラス] |
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小物クラスは、システムをまたがった再利用を助長します。一度作れば色々な業務で利用でき、保守性を向上させます。\\ |
リンゴ一山クラスは、同じ処理があちこちで実装される危険性を排除します。つい最近(2011年7月)ですが、「Grailsの開発においてリンゴ一山クラスを見逃していた結果、仕様変更の反映が数十ヶ所に及んでしまい工数をロスしました。」と、うちの若手が後悔していました。\\ |
小粒クラスは、システムをまたがった再利用を促進します。一度作れば色々な業務で利用でき、保守性を向上させます。\\ |
リンゴ一山クラスは、同じ処理があちこちで実装される危険性を排除します。\\ |